【Research Report】2020年3月期地方銀行の有価証券運用に関する資産別利回りとアセットアロケーションによる説明力

サマリー

 日本銀行による量的・質的金融緩和が行われた2013年4月以降、超低金利環境が継続し、地方銀行にとって貸出や有価証券運用による収益の獲得が厳しい状況が続いている。
  本稿では地方銀行の有価証券運用の資産クラスを円貨債、株式、外国証券、外国証券を除くその他の証券に分け重回帰分析を用いて資産クラスごとの平均的な利回り(以下、推定利回り)を過去6年分について年度ごとに推定した。その結果、2020年3月期は①円貨債の推定利回りはわずかながら上昇に転じ、②上昇傾向にあった株式、外国証券の推定利回りは低下に転じ、③投資信託等は、昨年までの傾向が継続しさらに低下していることが分かった。また、アセットアロケーション(資産クラスの構成比)による地方銀行の有価証券利回りに対する説明力(修正決定係数)は過去6年間で0.938~0.967と非常に高い状態で推移している。
  2020年3月期から投資信託解約損益を把握することが可能になったこともあり、有価証券利息配当金に含まれている投信解約益を控除した有価証券利回りを用いて資産クラスごとの推定利回りおよびアセットアロケーションによる説明力を分析した。その結果、投資信託等の投信解約益を含まない利回りは投信解約益を含む利回りより約0.5%低いことが分かった。また、アセットアロケーションによる投信解約益を控除した推定利回りに対する説明力は控除しない場合より高いことも明らかになった。

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