【Research Report】預金者別および都道府県別の預金分析~金融政策や相続等の影響について~

サマリー

米国における中小の金融機関からの預金流出や日銀による金融緩和策修正への警戒感を背景に、我が国の地域金融機関においても金融引き締め時における預金動向への関心が高まる中、本稿では、預金者別および都道府県別預貯金残高の変動について、金融政策が与える影響を分析し、更に金融政策以外の要因についても考察した。

預貯金残高は金融緩和によるマネタリーベースの拡大やコロナ禍による貸出、財政支出の増加などを背景に近年は比較的高い伸びが続いていたが、足元では、コロナ対応の各種支援策が縮小されるのに伴って伸び率が鈍化している。日銀が今後金融緩和の修正を進めた場合、マネタリーベースや貸出の残高は伸び率が一段と鈍化または減少すると予想されることから、預貯金残高も減少に転じる可能性があろう。

預金者別では、国内銀行と信用金庫を対象に金融引き締め局面と金融緩和局面における預金残高の変化率を比較したところ、個人預金は郵便貯金からの資金流入などの留意事項はあるものの、総じて法人預金に比べて粘着性が高く、金融引き締めなどのショックイベントによる預金流出への耐性も相対的に強いことが確認された。

都道府県別では、全ての地域で金融引き締め時は金融緩和時に比べて預貯金が流出しやすいあるいは流入しにくい傾向が確認された。都道府県別の預貯金残高変化率は全人口に占める勤労世代人口の割合など金融政策以外の要因による影響も受けており、総じて全人口に占める勤労世代人口の割合が高い地域ほど預貯金残高の変化率が高い傾向が確認された。勤労世代人口が多い地域は就職等に伴う転入者や相続による預貯金流入が多いと考えられ、両者による影響について試算したところ、相続と転出入共に流入超となる地域は大都市圏に多く、流出超となる地域は地方に多いことがわかった。

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