【Short Review】投資家視点での統合報告書の評価結果~2023年度~

サマリー

IFRS財団の「国際統合報告フレームワーク」(以下、IIRF)では、統合報告書の目的を「価値創造についてのコミュニケーション」と位置づけ、企業が価値創造に向けて取組んでいること、志向していることを投資家(財務資本の提供者)に対して伝達し、投資家による企業分析や企業と投資家との対話の契機になる情報を提供することとしている 。
日本では943社に上る上場企業が統合報告書(統合報告書相当のレポートを含む)を作成し、2023年を通じても増加傾向をたどった 。しかし、規模の面では世界でも有数の存在になっているものの、投資家との価値創造についてのコミュニケーションを目的としていない統合報告書も散見される。したがって、統合報告書という体裁であっても、投資家の企業分析・評価における有用性には濃淡がある。そのため投資家によっては、統合報告書に自分の理解・分析の促進に繋がる情報があると期待していない、もしくは、過去に目を通したものの継続的に読む必要性が低いと考えて、担当企業の統合報告書を放置するというケースも依然としてあると推測する。
一方、国内のメジャーなアウォードを受賞した統合報告書をみると、投資家に評価され得るコンテンツを一定水準で含有している。しかし、アウォードを受賞した統合報告書であっても、内容面では非財務情報、形式面では文章の記述スタイルや分量の面などで必ずしも投資家がストレスなく活用できるとはいえないものもある。そのため、担当企業の分析を行う証券アナリストであっても、すべての担当先の統合報告書を隅から隅まで熟読するケースはほとんどないであろうし、場合によっては分厚い統合報告書のなかで有益な情報を見落とす可能性もある。したがって、アウォードなどで評価の高い統合報告書を単純に手本に作成すれば、投資家から同様の高い評価を得られるわけでもない。

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