UCITS IVの概要とUCITS市場の発展

サマリー

UCITS(ユーシッツ)とは、譲渡可能証券の集団投資事業(Undertakings for Collective Investment in Transferable Securities)の略であり、欧州委員会(European Commission)が制定した指令(以下、UCITS指令)に準拠するファンドを指す。このUCITS指令は、あるファンドがUCITS指令に加盟する所属国で認可(承認)を受ければ、他の加盟国において改めて認可を受けなくても、そのファンドの販売を可能とする制度である。この制度は、本来は欧州域内の個人投資家を保護することを目的としており、UCITSの投資可能な範囲や、透明性(情報開示)について厳しい基準を設けている。
UCITS指令は1985年に制定された後、近年では、販売地域がアジア・アメリカ・中東・アフリカに拡大し、欧州投資信託協会によると2011年末には、欧州のファンドの約7割を占めるまでに拡大している。しかし、欧州域内での販売状況をみると、UCITSの過半数が所属国のみで販売されていると推計されており、クロスボーダーUCITSの市場が十分に拡大してないといえよう。
2009年に改定されたUCITS IVでは、ファンドの運用業務に関する制度を国際的に整備する内容が盛り込まれた。これは、欧州委員会が、欧州域内において、規模の経済を生かして運用業務の効率化を図り、クロスボーダーUCITSの販売拡大を目的としていると考えられる。具体的な改善内容は、UCITS指令に定められた「管理会社」(Management Company)の業務範囲の拡大、マスター・フィーダーUCITSの制度改善、国籍を越えたファンドの合併に関する制度改善等である。

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