東日本大震災によるリスクの変化~漸近展開によるVaR計算とその影響~

サマリー

本稿では、東日本大震災が金融市場に与えた影響について、特に日本市場(株式、債券)に着目し、株式、債券それぞれの金融資産のVaR(Value at Risk)を、震災発生日を含む期間、含まない期間に分けて計算することによって、その具体的な影響度を見ていく。ただし、実際の各金融資産(指数)のリターン分布は必ずしも正規分布であるとは限らないことから、各資産のリターン分布の歪度、尖度を具体的に計算し、分布関数の漸近展開(エッジワース展開、グラム・シャリエ展開)を応用することによって、正規分布からの歪みを考慮した。
その結果、当然ながら震災を含む期間でVaRの上昇も観測されたが、いくつかの業種指数等においては、震災発生前において分布の歪みに由来してVaRが過小評価されている可能性があることがわかった。したがって、特定の観測期間の数字で単純に結論付けることは難しいものの、平常時より、リターン分布の歪み、その影響による過小評価幅がどの程度なのかを把握しておくことが大切であるともいえよう。

サービス・事例紹介

この記事に関連する当社のサービスや事例のご紹介をご希望の方は、下記よりお問い合わせください。
担当研究所・研究員からご案内をいたします。

ご意見の投稿

この記事についてご意見をお聞かせください。
今後のサイト運営や、レポートの参考とさせていただきます。

  • 戻る
  • ページ先頭へ戻る