ペアトレード戦略におけるポジション構築および解消手法の理論的導出に関する考察

サマリー

本稿では、2014年12月24日にプレプリント・サーバーarXivにて公開された、NgoとPhamによるプレプリント論文 “Optimal switching for pairs trading rule: a viscosity solutions approach”のレビューを行うとともに、その日本市場における活用の可能性について考察する。まず、NgoとPhamらの手法に従い、ペアトレード戦略をHamilton-Jacobi-Bellman方程式による最適化問題として定式化し、その解の存在からポジション構築・解消を判断するしきい値がどのように導き出されるのかについて解説した後、そのしきい値を利用した独自の視点による複数のモンテカルロシミュレーションを行うことで、このペアトレード戦略の有効性を検証する。さらに、このペアトレード戦略から得られるリターンに関して、平均回帰性を特徴づけるパラメータや取引コスト率に対する依存性について詳しく検証し考察する。そして、それらの結果をもとに、このペアトレード戦略の応用可能性を考察していく。
本稿で紹介する手法は、実務へ応用するときの課題は多々あるものの、一旦ペア銘柄が決まってしまえば、その後は、厳密な数学の理論の帰結を利用することで、膨大なシミュレーションなどせずに売買タイミングを決定するしきい値が一意的かつ自動的に決まってしまうため、戦略アルゴリズム決定プロセスが大幅に短縮される可能性が非常に高い。これによって、非常に多くのペア銘柄による投資が可能となる、急な市場環境の変化にも柔軟に対応可能となるといった様々なメリットを享受することができると考えられる。
 

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