【Research Report】コーポレートガバナンスに対する日本企業の取り組み~日本国内とグローバルの2つの視点から~

サマリー

日興リサーチセンターでは、コーポレートガバナンスに関する情報提供の一環として、「コーポレートガバナンス(CG)評価サービス」を提供している。これは、日本のコーポレートガバナンス・コードの原則に則った基準(国内基準)とICGN Global Governance Principlesの原則に則った基準(グローバル基準)の2つの視点から、企業のコーポレートガバナンスの取り組み状況を評価するサービスである。本稿では、当サービスを利用した企業10社の結果を基に、取り組みが進んでいる評価項目および取り組みが進んでいない評価項目を確認した。
取り組みが進んでいるのは、国内基準に関する項目が多い。具体的には、取締役会に独立社外取締役が増え、指名諮問委員会や報酬諮問委員会を設置したことによって、経営者の意思決定や取締役の指名、報酬方針に対するモニタリングが強化されている。そして、取締役の指名プロセスに関する開示、企業のステークホルダーに関する取り組みの開示、株主に関連した取り組み(招集通知の英訳や早期発送、関連当事者間取引など)についての開示など、株主を含めたステークホルダーに向けた開示が多く確認された。
一方、取り組みが進んでいない項目には、グローバル基準が多い。経営の監督機能(取締役会議長の独立性や取締役会の実効性)が弱く、また経営者がリスクをとることに対するモニタリングが十分ではなく、リスクをとることを促す報酬方針についての情報開示も不足している。このことは、「経営の執行と監督の分離」という観点が欠けていることを示唆している。さらに、少数株主に対する企業の方針、特定保有株式に関する方針が曖昧であり、少数株主保護に対する配慮が十分であるとは言い難い。これらの点については、今後の取り組みが期待される。

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