【Research Report】個人のESG投資とESGファンドへの関心―2023年生活者アンケート調査からの考察―

サマリー

日本政府は「資産所得倍増プラン」の一環として個人による投資を促すと同時に、環境社会課題解決に対する投資である、環境、社会、ガバナンスに着目した、いわゆるESG投資の環境整備を進めている。本稿は、2023年に日興リサーチセンターが行ったウェブ・アンケート調査「生活者アンケート」の結果を基に、個人のESGを活用した投資とESGファンドに対する意識を分析した。
アンケートの回答者全体では、ESG投資、ESGファンドに対する関心がともに低い結果であった。ESG投資については、気候変動などESG情報の利用やインパクト投資、環境社会関連の株主提案や株主総会議案に対する議決権行使などへの関心は1割を切る状況である。また、回答者のおよそ3割を占める株式投資経験者に限定しても、他と比べて関心を持っているものの、株式投資経験者の1割程度であった。だが、株式投資経験者の中でも、男性や世帯年収が高い層は、気候変動関連開示や議決権行使などに関心を持つ割合が高いなど、属性の違いによって、ESG投資に対する関心度合が異なることが確認された。
他方、ESGファンドに関するアンケートでは、ESGファンドを認知している人の割合が1割程度と低いこともあり、ESGファンドによる「環境・社会への寄与」や「リスクリターン」への期待も低い結果であった。だが、株式投資経験者は、相対的にESGファンドへの期待が高く、性別や世帯年収の違いによって、ESGファンドへの期待が異なる。また、どのような切り口であっても、ESGファンドによる「環境・社会への寄与」に対する期待は、「リスクリターン」への期待を上回っている。
さらに株式投資経験に加えて、サステナブルビジネスに従事している回答者(SB従事者)は、ESG投資への意識並びにESGファンドに対する期待が高いことが確認された。

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