取締役構成の規模および属性と企業価値に関する一考察

サマリー

昨今の多発する企業不祥事をきっかけに、社外取締役の重要性に注目が集まっている。この背景には、社外取締役が持つとされる「モニター」と「アドバイザー」の2つの機能が企業価値を高めるとの見方がある。例えば、「モニター」としての機能とは、不祥事の未然防止や非効率な投資行動を抑制するために、より中立的な立場から企業経営を監視することである。一方、「アドバイザー」としての機能とは、社外取締役が企業経営に資するような助言を行うことである。
わが国の企業は、事業の多様化、規模の拡大などにより、複雑な問題に直面するケースが散見される。このような複雑な問題に直面している企業(complex firm)においては、企業内部では得られない業務経験や専門性を持つ社外取締役の助言が有効に機能する可能性は高いと思われる。
本稿では、社外取締役の「アドバイザー」機能に注目し、わが国の代表的な産業である電気機器、輸送用機器、精密機器の主要企業における取締役構成と企業価値との関係性について分析を行った。分析の結果、complex firmでは、取締役の人数が多いほど、企業価値が高いことが明らかとなった。その一方、社外取締役の人数について分析してみると、このような関係は見出せなかった。さらに、社外取締役の属性(銀行出身、その他金融機関、会計士、弁護士、行政・政府)についても、企業価値との関係は見出せなかった。

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