女性活用と両立支援(2)

サマリー

今月号では、付加価値を従属変数、女性活用(管理職への登用等)と両立支援度(家事、育児と仕事の両立)等を説明変数とした生産関数の推定等により、両者がどのように企業パフォーマンスに影響するのかを検討する。分析の結果、女性活用は平均的に生産性を高める効果が示唆された。また、両立支援度を考慮した推定では、両立支援度が高まる程、女性活用の生産性向上効果が強まることが示唆された。つまり、結婚や出産を経ても女性が働き続けられる企業では、女性活用の限界的な効果が高まる傾向が確認できた。また、このような傾向は、生産関数の定式化を変えても保たれている他、外れ値に対する頑健推定の一つであるLTS(Least Trimmed Squares)推定によっても変わらなかった。こうした結果は、両立支援、女性登用が共に進んでいる企業では多様な知見の融合(Diversity効果)や長期的な視野を持つ優秀な女性の就労(セレクション効果)が生産性を高めていることを示唆している。女性活用、両立支援は企業の社会貢献的な観点から論じられることが多く、企業にとってコストになるとの見方も根強いが、本稿の分析結果は両立支援と女性活用は社会のみならず企業にとってもベネフィットが存在する可能性を示唆している。

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