企業不祥事に対する消費者の意識について
- 2009年1月31日
社会システム研究所
- 杉浦 康之
サマリー
近年、食料品における異物混入問題など、その業界全体の信用を揺るがす不祥事が絶えない。特に製造物責任に関連する不祥事の場合には、メディアなどの過熱報道などもあり、当該企業の商品やサービスに限定されず、その商品・サービスに関連する商品すべてに影響を及ぼすこともあり得る。このことは、全ての商品やサービスについても同じことが言えるのだろうか。日興フィナンシャル・インテリジェンスでは、これまでにも消費者の消費行動の背景にある価値観を推計するために個人の消費意識に関するアンケート調査を実施してきたが、今回の調査では、商品やサービスを提供する企業が不祥事を起した際のその商品やサービスの購買に関する継続性ついてもヒアリングした。このアンケート結果を分析したところ、多くの生活項目で、「関心が低いことが、購買行動を、より一層抑制する」結果が得られた。また、一部の項目については「関心があることで購買行動を継続する」面も見られた。さらには消費者の属性によって不祥事に対する敏感度が異なることも確認された。つまり商品・サービスについて不祥事が発覚した際に、それが購買行動の継続性に影響する度合いが、商品・サービスによって異なると考えられるのである。