【Research Report】気候変動に対する生活者の意識は変化したのか?
- 2022年7月26日
社会システム研究所
- 杉浦 康之
サマリー
本稿では、日興リサーチセンターが行う「生活者アンケート」データを用いて、気候変動に対する意識について2019年から2021年の3年間の変化を確認した。2021年に実施したアンケートでは、「地球が温暖化している」ことを75.9%の回答者が肯定しており、約半数の回答者が「地球温暖化は人類の活動が原因」であると認識している。
3年間の気候変動に対する意識の変化については、アンケート調査年ごとにある回答者の属性のバイアスを補正して分析を行った。その結果、2020年から2021年にかけて「地球は温暖化している」「地球温暖化は、人類の活動が原因だと思う」ことについて、肯定する意見が4~5ポイント程度低下していたが、2019年と2021年との比較では差が確認されなかった。このことから、地球温暖化やその人為的な影響について、2020年の調査が他2年間に比べ突出した結果であったと考えられる。
また、「ゲリラ豪雨など、近頃の異常気象の原因は、地球温暖化が原因だと思う」については、2020年から2021年では6ポイント程度の低下、2019年から2021年でも5ポイント程度低下しており、年々、異常気象と地球温暖化との関係性を肯定する意見は減少傾向にあるといえる。
地球温暖化の対応策の一つである「炭素税の導入」の賛成派の水準は10%前後と低いものの、過去3年間の中では2021年が最も高い結果であった。