【Short Review】投資信託の設定額による平均保有期間の計測と投資家動向の分析への活用

サマリー

 昨年は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響による金融市場の混乱があったが、コロナ対応として各国で実施された大規模な財政出動や金融緩和を背景に株式市場は上昇に転じ、年末には日経平均が31年ぶりの高値になり、米国株式市場は史上最高値の水準で終わった。国内外の株式市場の上昇が追い風となり、公募追加型株式投信(除くETF)(以下、ファンド)の純資産総額は12月末に過去最高の69.65兆円となった。昨年1年間のファンドの設定額は23.17兆円(前年は18.45兆円)、解約額と償還額の合計は21.16兆円(前年は19.08兆円)であり、2019年と比較してどちらも増加したが、その差である純資金流入額は2.01兆円(前年はマイナス0.63兆円)とプラスになった。
 昨年1年間を通じると国内外の株式を投資対象とするファンドを中心に、良好なパフォーマンスになったファンドも多いが、資産形成に対する関心が高まっている中で、一時はリーマンショックと比較される大きな金融市場のショックがあり、ファンドの投資家への影響が懸念された。そこで、本稿ではファンドの平均保有期間に着目して、新型コロナウイルスの感染拡大を受けたファンドの投資家動向の把握を試みる。具体的には、次章でファンドの平均保有期間としてこれまで一般的に用いられてきた計測方法とは異なり、ファンドの設定額によって平均保有期間を計測する方法を示す。そして、第3章でファンドの平均保有期間の推移を確認した後、第4章でファンドの投資家動向を把握するための指標として平均保有期間を活用することを提案する。

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