【Research Clip】EUタクソノミー規制について
- 2020年12月24日
社会システム研究所
- 髙橋 龍生
サマリー
2020年6月に、EUタクソノミー規制が欧州議会で可決され、法制化されることで合意された。EUは、気候変動問題に対応していくために、脱炭素化を目指しており、昨今では2050年カーボンニュートラルを掲げている。しかし、カーボンニュートラルを達成するためには莫大な投資が必要となり、民間部門のサステナブルファイナンスを促進していく必要がある。そこで、”何への投資がサステナブルファイナンスと言えるのか”、という観点から”何がサステナブルな経済活動であるのか”を定義する必要があった。
タクソノミーは、英語で「分類学」を意味する。EUタクソノミーは、”何がサステナブルな経済活動なのか”を具体的に分類(定義)したリストとなっている。欧州委員会の有識者組織である「サステナブルファイナンスに関するテクニカル専門家グループ」が、2020年3月に公表した最終報告書では、EUが掲げる6つの環境目標のうち「気候変動の緩和」と「気候変動への適応」に貢献する経済活動が、産業ごとに特定されている(今後、他の4つの環境目標についても特定される)。
タクソノミーを通して、”何がサステナブル”なのかが分かれば、”どの程度サステナブルなのか”も判明する。このEUタクソノミー規制では、企業は自社の事業ポートフォリオが、”どの程度サステナブルなのか”を開示する必要がある。また、金融機関も自社が出している金融商品が”どの程度サステナブルなのか”を開示する必要があり、共に対応を迫られる。