【ResearchClip】国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が気候関連の情報開示基準の草案を公開

サマリー

2022年3月31日、国際サステナビリティ基準審議会(International Sustainability Standards Board、以下ISSB)が、「IFRS S1 サステナビリティ関連財務情報開示に関する全般的要求事項」および「IFRS S2 気候関連開示」の2つの開示基準の草案を公開した。前者は、財務資本提供者が資本提供を行うか否かを判断する際に有益となる、重大なサステナビリティ関連のリスクと機会に関する情報を企業が開示することを目的としている。後者は、気候関連のリスクと機会が企業価値に与える影響を財務資本提供者が評価する際に、有益となる情報を企業が開示することを目的としている。本稿では、後者の「IFRS S2 気候関連開示」の基準案の内容について、紹介する。
現在、気候関連の開示については、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」からなる4提言に基づいた開示がグローバルで主流となっている。TCFDが公表した「2021 Status Report」によると、EU、英国、ニュージーランド、スイス、シンガポール、香港、ブラジルにおいて、TCFD提言に沿った開示の法定化が進められているという。日本においては、2021年に改訂されたコーポレートガバナンス・コードが、プライム上場企業に対して、「TCFDまたはそれと同等の枠組み(ISSBによる今回の「IFRS S2 気候関連開示」 )」に基づいた開示を求めている。
TCFD提言はフレームワークであるため、具体的な開示基準はない。また、開示方法については、企業側の自由裁量となっているため、比較可能性の問題が挙げられる。だが、「IFRS S2 気候関連開示」は、TCFD提言よりも、より具体的かつ詳細な開示基準となっている。開示内容が企業側の自由記載に基づいたTCFD提言によるフレームワークから、統一化された具体的な基準へと深化したと言える。

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