【Research Report】投資信託のパフォーマンスに関する時系列分析~資金フローとリターンに着目した考察~

サマリー

 日本では、これまで「貯蓄から資産形成へ」の流れを促すためにさまざまな制度改正が行われてきた。欧米に比べて日本の家計の金融資産に占める「現金・預金」の比率はまだ高い状況にあるが、高齢化社会における老後資金の備えのために自助による資産形成の重要性は徐々に浸透してきており、資産形成の手段として「長期、積立、分散」投資が簡単にできる投資信託が果たす役割はますます大きくなると考える。  
 そこで、本稿では近年のオープン投信の大きな流れについて確認した後、オープン投信の資金フローとリターンに着目し、時系列分析の手法を用いてオープン投信全体と商品分類別に分析した。純資産総額を基準価額と口数に分解し、基準価額の騰落率と口数の変化率の関係を検証したところ、前月や当月の基準価額の騰落率が当月の口数に与える影響についての説明力が概ね高かった。例えば、「国内株式」は当月の基準価額が上昇(下落)すると、逆張りの売り(買い)によって当月の口数がやや減少(増加)しており、短期的な値動きを見て売買される傾向が見られた。また、「グローバル株式(ヘッジなし)」や「複合」は、前月の基準価額が上昇(下落)すると、順張りの買い(売り)によって当月の口数が若干増加(減少)しており、「国内株式」よりも長めの期間でトレンド追随型の投資スタンスで売買されている傾向が見られた。そのため、ファンドの分類によって投資家の売買のスタンスが異なっている可能性が考えられる。

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