【Short Review】投資信託の取り崩し方法の比較

サマリー

 新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済の混乱が続き、資産運用における不確実性が高まっている。しかし、人生100年時代において資産形成の時期に蓄えた資産を退職後の生活資金として活用しながら、資産寿命を延ばすことの重要性は変わらない。
 本山[2020]では、過去の株式市場のショックの直前の高値で投資信託の積立投資を開始した時のパフォーマンスを示し、投資信託による積立投資の効果を確認した。そして、積立投資において株式市場のショックを避けることができない以上、積立投資が万能なわけではなく、資産を取り崩す方法を検討することも重要であることに言及した。積立投資においては、一定期間ごとに同じ金額を投資する方法(ドル・コスト平均法)が一般的であり、投資信託であれば基準価額が安い時は多くの口数を購入し、高い時は購入口数が少ないため、平均購入価額を下げる効果が得られる点が長所とされる。一方、資産の取り崩しにおいて一定期間ごとに同じ金額を取り崩すためには、基準価額が高い時は売却する口数が少なくて済むが、安い時には多くの口数を売却する必要がある。そのため、積立投資のドル・コスト平均法とは逆の効果が働いてしまい、基準価額が安い時期が続くと資産寿命が短くなってしまう。そこで本稿では、投資信託を活用した退職後の資産管理に資するために、投資信託で運用を続けながら資産を取り崩す方法として、毎月月末に①同じ金額を取り崩す方法(定額取り崩し)に加えて、②各月末の残高の一定割合の金額を取り崩す方法(定率取り崩し)、③同じ口数を取り崩す方法(定口取り崩し)の3通りの方法を比較し、それぞれの方法の特徴を考察する。

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