金利急上昇局面におけるスワップヘッジ戦略の有効性~98年資金運用部ショック、03年VaRショック時のシナリオによる検証~

サマリー

本レポートでは、債券市場において過去に発生した2つの金利急上昇局面(1998年資金運用部ショック、2003年VaRショック)において、単年限のスワップを用いた金利リスクヘッジ戦略の有効性について検証した。
国債ラダーポートフォリオを現物保有資産とし、ヘッジ戦略で利用するスワップは単一年限のみとして過去データに基づく検証を行った結果、金利急上昇が始まった後、3~10営業日以内に適切なヘッジ戦略をとれば、一切ヘッジ戦略を行わなかった場合よりも保有債券の評価時価の下落を抑えることが可能であったことがわかった。
また、本レポートでは「入口」すなわちヘッジ戦略を開始するタイミングだけでなく、「出口」すなわちヘッジを解消するタイミングについても詳細に議論している。
本レポートで行った検証は、投資家にとっての定性的な判断と直結しやすいこと、さらに検証条件で利用した各種パラメータの設定も現実的な設定であることから、特定の条件、特定の局面のみでの検証ではあるものの、ある程度の一般性は担保できると考えている。
今後、財政悪化や貿易収支悪化により、景気拡大を伴わない“悪い”金利上昇が急激に起こった場合、単純な資産売却という「直接的な」リスク低減行動は、多くの投資家が最初に考慮するものであり、それに伴い流動性が著しく低下するため、実際にはリスク低減できない可能性が高い。本レポートで紹介する単一年限のスワップを用いたシンプルなヘッジ戦略は、「間接的な」リスク低減手段となりうる。

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