海外投資家のエンゲージメント~欧州機関投資家のヒアリング調査より

サマリー

欧州の機関投資家(年金基金、運用機関)は、責任投資の観点から、企業に対し、ESGに関するエンゲージメントを行っている。日本においても国内外の機関投資家が「責任ある機関投資家」の諸原則(日本版スチュワードシップ・コード)の受け入れを表明したことから、今後ESGに関するエンゲージメントが増えることが予想され、日本企業に対するエンゲージメントが進展していく可能性がある。弊社では、2014年5月に欧州の代表的な機関投資家を訪問し、エンゲージメントに関するヒアリング調査を実施した。その結果、以下のことが明らかになった。①欧州機関投資家は、企業の本源的な価値を理解するためのツールの一つとしてエンゲージメントを行っている。②欧州機関投資家は、エンゲージメントのテーマとして、中長期的な問題を扱っている。③エンゲージメントは、必ずしもすべての企業に対して行うのではなく、ポートフォリオへのインパクトを考慮して行っている。④エンゲージメントには様々な手法があるが、より効果的な手法を用いる傾向にある。⑤海外IRなどで欧州を訪れる日本企業については、IRや情報開示レベルなどに関して一定の評価をしているが、平均的な日本企業は、情報開示レベルが低いことや、投資家とのコミュニケーション能力の低さが指摘されている。このようなことから、投資家による適切な価値判断を可能にするためにも、日本企業には、プロアクティブな情報開示が求められる。
 

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