GRスコア2022からみた日本のコーポレート・ガバナンスの現状

サマリー

日本のコーポレートガバナンス・コード(以下、JCGC)は2015年に導入され、2021年6月に2度目の改訂を経て、公表されました。この改訂では、コロナ禍を契機とした企業を取り巻く環境変化や東京証券取引所の市場構造改革を踏まえ、見直しが行われました。その結果、プライム市場に上場する企業においては、独立社外取締役を明示的に1/3以上とし、取締役会の独立性が求められています。さらに、取締役会は、女性、年齢、国際性といったデモグラフィカルな多様性、経営戦略に照らした適切なスキルや経験の多様性が求められています。加えて、中長期的な企業価値向上の視点から、気候変動対応をはじめとするサステナビリティ課題を巡る取組みについて、基本的な方針を策定し、課題に取組むことに取締役会が関与をするよう促しており、新たな取締役会の役割が求められています。
また、有価証券報告書などの財務報告における非財務情報開示も強化されつつあります。これを受け、企業は、中長期的な価値創造の視点から環境や社会の課題に対し、どのように対処し、コーポレートガバナンスの体制をどのように整備していくのかなど、充実した開示がより一層求められることになります。機関投資家をはじめとする投資家は、こうした環境、社会、ガバナンスの様々な課題を投資戦略に反映させることで、企業の本質的かつ中長期的な企業価値を見極め、必要があれば更なる変革に対する「声」を挙げていくことになると考えます。そして企業側は、サステナビリティを含めたガバナンスに対する投資家の「声」に耳を傾けていかざるを得なくなります。
日興リサーチセンターでは、JCGCと、機関投資家を代表する団体であるICGN(International Corporate Governance Network)が公表するICGNグローバル・ガバナンス原則の2つを基準としたベンチマーキングによるガバナンス評価モデル、「ガバナンスリサーチ・スコア(GRスコア)」を開発し、2017年より毎年評価を行っております。2022年の評価では、日本のコード改訂、ICGNの原則の改訂に合わせ、評価項目を一部変更しました。これにより、GRスコア対象企業109社における2つの基準が求めるコーポレートガバナンスの「今」を確認し、「過去」からの変化を追いかけることができます。本報告書では、コーポレートガバナンスの様々なテーマに対する「過去」と「今」をご報告いたします。

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