日米の資金循環表にみる年金資産と株式市場(2)

サマリー

5月号では、日米それぞれの資金循環表を使って、年金資産の相対的な大きさや、年金資産の増加あるいは制度の多様化が、株式の保有や取引にどのような影響を与えているかを概観した。本稿では、前回の内容を踏まえつつ、資金循環表のデータにより、株式市場での価格形成において、どの経済主体が影響力をもつか、また影響力のある主体の投資行動はどのように特徴づけられるのかを概観してみる。日本の1998年から2005年までのデータを用いた各取引主体のキャッシュフローと株式リターンとの相関分析によると、有意な相関を持つのは海外部門と保険会社、重回帰分析では海外部門と企業年金となった。具体的には海外部門と企業年金は株価変化とプラスの、生命保険はマイナスの相関が観察された。この期間における日本の株式相場のmarket moverはこの3者であったと想定される。なお、price pressure仮説、feedback trade仮説、informed trade仮説に基づき各主体の行動を特徴づけようと試みたが、海外部門にprice pressure的な傾向がみられるものの、四半期ベースの資金循環表のデータを用いた分析では、限界のあることがわかった。

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