【Research Report】コロナ対応の実質無利子・無担保融資が地方銀行の決算に与えた影響の考察(2022年3月期)

サマリー

 新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)で影響を受ける事業者の資金繰りを支援するために、政府系金融機関による実質無利子・無担保の緊急貸付・保証枠、日銀による企業金融支援特別オペに続き、民間金融機関による実質無利子・無担保、保証料減免の信用保証付き融資(以下、ゼロゼロ融資)が2020年5月に導入され、2021年3月末で終了した。
 本稿では、2022年3月期においてデータが推計可能な地方銀行52行、第二地方銀行27行についてゼロゼロ融資の残高および利回りを試算し、ゼロゼロ融資が2022年3月期の貸出金残高、貸出金利回り、貸出金利息、収益、与信費用に与えた影響を調査した。
 分析対象79行の合計では、ゼロゼロ融資の期末残高が前年比17.4%減少し、貸出金残高全体に占める割合が2021年3月期から0.72%低下して3.07%となる一方、ゼロゼロ融資の利息は前年比80.3%増加し、貸出金利息全体および業務粗利益に占める割合も上昇した。また、与信費用への影響については、ゼロゼロ融資のうちクレジットリスクがあるセーフティネット保証5号(融資額の20%が保証外)の残高全額が債務不履行となった場合、その損失額は業務粗利益の9.45%に相当することがわかった。

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