【Short Review】IFRSサステナビリティ開示基準の最終化①～IFRS S1（全般的要求事項）を中心に～

国際サステナビリティ基準審議会(International Sustainability Standards Board、以下「ISSB」)が、2023年6月26日に、IFRSサステナビリティ開示基準（IFRS Sustainability Disclosure Standard、以下「IFRS SDS」）の第一弾として、全般的要求事項（IFRS S1 General Requirements for Disclosure of Sustainability-related Financial Information、以下「IFRS S1」）と気候関連開示要求事項（IFRS S2 Climate-related Disclosures、以下「IFRS S2」）を公表した。この２つの基準は、日本におけるサステナビリティ開示基準の開発にあたってのグローバル・ベースラインとなるものであり、既にサステナビリティ基準委員会（Sustainability Standards Board of Japan, 以下「SSBJ」）において、日本版S1基準及び日本版S2基準の開発が進められている。このようにIFRS SDSは日本企業によるサステナビリティ情報開示にも大きな影響を及ぼすことが想定される。本稿では、以下の７つの点について言及する。

・IFRS SDSの構造
・IFRS S1の構成と概要
・IFRS S1の「目的」
・IFRS SDS全体に適用される基本事項
・コア・コンテンツ
・プロポ―ショナリティ（Proportionality）、経過措置など
・日本基準の開発動向と導入に向けたスケジュール