【Research Report】GRスコア2022対象企業における経営者報酬の状況

サマリー

経営者報酬の設計は、株主利益と一致させるための一つの手段であることから、コーポレートガバナンス・コードや国際的な機関投資家団体であるICGNグローバル・ガバナンス原則でもトピックの一つに挙げられている。機関投資家の関心の一つである経営者報酬について、日本企業がどのような状況であるのかを把握するため、日興リサーチセンターが開発するガバナンス評価GRスコア2022の対象の日本の上場企業109社について調査を行った。
2021年12月末時点の情報を基に経営者報酬の状況を把握したところ、109社のうち、108社が経営者報酬にインセンティブ報酬を導入している。そのうち74社は中長期インセンティブを導入し、かつ報酬の割合を開示している。基本報酬とインセンティブ報酬の比率は前回実施した2020年の調査結果と比較すると、大きな変化はなく、引き続き基本報酬の割合が欧米の経営者報酬と比較すると高い傾向にある。
経営者報酬と連動する際の指標については、当期営業利益、当期純利益、ROEなど収益性に関する指標を用いている企業が多く確認された。また、環境や社会といった非財務指標を目標に含めている企業は2020年調査時点の8社から26社に増えている。非財務指標の開示は「エネルギー資源」、「運輸・物流」、「銀行」などの業種で多くみられた。
経営者報酬と業績等との連動に関する具体的な記述については、単に「営業利益等と連動させている」という記述にとどまるケースも多いが、30社は各種指標とその評価ウェイト、指標の具体的な目標値、目標の達成率に応じた評価係数の変動幅、などを具体的に示しており、前回調査の23社から増えている。
経営者報酬についてグローバル基準では、経営者の不正防止策、報酬報告書の開示も求める。経営者の不正防止の観点から、マルスやクローバック条項を導入している企業数も増え、47社(前回30社から増加)であった。報酬報告に関しては前回調査時には開示企業が確認できなかったが、今回は2社で全取締役の個人別報酬が開示されていた。

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