【Short Review】地方銀行が保有する政策保有株式と純投資株式のパフォーマンス比較
- 2020年12月25日
資産運用研究所
研究員
- 鈴木 高信
サマリー
政策保有目的株式(以下、政策保有株式)の保有については、情報の開示と保有の縮減を求める投資家からの意見もあり、2010年3月の「企業内容等の開示に関する内閣府令」の改正では、2011年度から上場企業は政策保有株式の有価証券報告書の銘柄数・貸借対照表計上額の開示が求められるようになった。さらに、2019年1月の同内閣府令の改正によって、定量的な保有効果の開示が求められるなど、政策保有株に関する情報開示に対する要求は厳しくなってきている。
また、地方銀行においては、自己資本比率規制(バーゼル規制)によって株式のリスク・ウェイトの段階的な引き上げが想定されており、今後は保有の目的・効果が明確でない政策保有株式の削減に向けた動きは加速していくことも考えられる。
これまでに政策保有株式は保有によるコストやリスクについて論じられることはあるが、その収益性について論じている論文は少ない。本稿では有価証券報告書等の開示データを使用し、地方銀行が保有する株式の保有目的別の利回りと損益率(配当除く)の推定を行うことで、収益面での定量的な保有効果について検証を行う。