【Short Review】金融機関の気候変動に関する開示状況調査(2023年3月期)

サマリー

 気候変動への対応として各国・地域が温室効果ガス排出量を2050年までに実質ゼロとするネットゼロ目標を宣言し様々なカーボンニュートラル関連施策を打ち出すなど、世界的に脱炭素に向けた取り組みが加速している。気候関連の情報開示に関する最近の動向としては、2023年6月にTCFDの枠組みを基にしたISSBによるサステナビリティ情報開示基準が公表された。その後、同11月にバーゼル銀行監督委員会が「気候関連金融リスクの開示」という市中協議文書を公表し国際的に活動する銀行に適用される開示の枠組みを検討するなど、金融分野においても気候関連の情報開示に関する統一的な基準を目指す動きが進んでいる。
 わが国における最近の動向としては、2023年1月に「企業内容等の開示に関する内閣府令等」が改正され、2023年3月期決算企業から有価証券報告書等においてサステナビリティ情報の開示が義務化されることになった。更に、東証プライム上場企業を対象に温室効果ガス排出量の開示義務付けに向けた議論もされている。
 以上のように気候関連の情報開示に関する対応についてはTCFD提言に基づく開示が重要な役割を果たしており、金融機関においても年を追うごとに開示が増え、内容の充実がみられる。そこで、本稿では都市銀行、地方銀行、第二地方銀行に加え、2023年3月期より新たに開示が始まった信用金庫も含めた銀行等が気候変動への対応について現状どのような開示をしているか、更に気候変動のリスクと機会に関するシナリオ分析、温室効果ガス排出量の基準のひとつであるScope3排出量の算定、セクター別のFEの算定等にどのように取り組んでいるかについて調査した。

サービス・事例紹介

この記事に関連する当社のサービスや事例のご紹介をご希望の方は、下記よりお問い合わせください。
担当研究所・研究員からご案内をいたします。

ご意見の投稿

この記事についてご意見をお聞かせください。
今後のサイト運営や、レポートの参考とさせていただきます。

  • 戻る
  • ページ先頭へ戻る