【Short Review】キリンHDに事業売却とビール事業への集中を求める株主提案に対する機関投資家の判断

サマリー

2020年3月に開催されたキリンホールディングス(2503、以下「同社」)の定時株主総会では、インディペンデント・フランチャイズ・パートナーズ、LLP(以下「FP社」)からの株主提案が行われた。FP社の株主提案の骨子は、同社が事業売却とビール事業への経営資源の集中を推進することで、コングロマリット・ディスカウントおよび資本配分ディスカウントを解消し、その帰結として株価の上昇を企図するものである。
日本では株主が持つ権利は強く、改正外為法に抵触しなければ、株主は株主総会を通じて経営の重要事項の決定に関与することができる。株主総会で株主提案が多く行われるのは日本と米国であるが、米国では株主提案は拘束力のない参考議決にとどまる。また、取締役会の経営判断を拘束する株主提案は、米国証券取引委員会(SEC)からノーアクションレターを得ることで、それを株主総会の議題から外すことができる。一方、日本の株主提案は拘束力を持ち、取締役選任や増配などの利益処分、定款変更などを議決することができる 。
今回のFP社の株主提案は、日本での株主権を活用するかたちで同社に経営方針の大きな転換を求める内容であった。それに対して国内外の機関投資家がどのような判断をしたのかを、各社の議決権行使結果をもとに考察する。
 

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