【Short Review】ネットゼロを実現するカーボン・オフセット
サマリー
2021年英国グラスゴーで開かれたCOP26(気候変動枠組条約締約国会議)において、地球の平均気温の上昇を、産業革命以前より1.5℃に抑えることを目標とすることが合意された。IPCC特別報告書によると、1.5℃目標達成のためには、2030年までに温室効果ガス排出を2010年比45%削減、2050年頃には実質的にゼロ排出を達成することが必要とされる(環境省、2018)。
この1.5℃シナリオをふまえ、 国や地域だけでなく、地方自治体や都市、グローバル企業からもネットゼロ宣言が相次いでいる。Black, R., et al. (2021) によるとForbs Global 2000企業のうち、21%以上がネットゼロを宣言しているという。この企業の「ネット(実質)」ゼロ排出を達成する手段としてカーボン・オフセットが注目されている。物理的に削減しきれない温室効果ガスはオフセットする必要があるからだ。