日本銀行による量的・質的金融緩和が行われた2013年4月以降、超低金利環境が継続し、地方銀行にとって貸出や有価証券運用による収益の獲得が厳しい状況が続いている。
地方銀行の平均的な有価証券利回りと貸出金利回りの関係については、2018年3月期に有価証券利回りが貸出金利回りを上回り、2019年3月期ではさらにその利回り差が拡大している。
地方銀行の有価証券運用においては、2013年3月期以降の傾向が2019年3月期も継続し、国債、地方債や社債(円貨債)の構成比率が低下し、株式、その他の証券(リスク資産)の構成比率が上昇している。
そこで、本稿では、成田(2018)と同様に地方銀行の資産クラスごとの平均的な利回り(以下、推定利回り)を推定した。その結果、①円貨債の推定利回りは予想通り年々低下していること、②株式、外国証券の推定利回りは直近上昇傾向であり、2019年3月期の推定利回りはともに2%を超えていること、③外国証券を除くその他の証券(以下、投資信託等)については、年々推定利回りが低下していることが分かった。
また、円貨債、株式、外国証券、投資信託等の資産配分(以下、アセットアロケーション)により、有価証券利回りがどの程度説明できるのかについて過去5年間の結果を検証した。その結果、有価証券利回りの9割以上がアセットアロケーションによって説明できることが分かった。