【Short Review】投資家視点での統合報告書評価~NRC基準での評価結果~

サマリー

国際統合報告評議会(International Integrated Reporting Council、IIRC)では、統合報告書の目的を「価値創造についてのコミュニケーション」としている 。企業が価値創造に向けて取組んでいること、志向していることを投資家(財務資本の提供者)に向けて伝達し、投資家による企業分析や企業と投資家との対話の契機になる情報を提供することを主眼とする。
IIRCは統合報告書の作成を求める背景として、現在の各種報告書モデルが形成された後、経営の在り方、事業価値の創造プロセス、事業環境には大きな変化があり、それらは相互に関連しているが、それぞれの報告書は個別に展開されてきたため互いに結合した内容になっておらず、特に、戦略、ガバナンス、事業運営、財務、非財務の重要な相互関係が明確ではない点を挙げる 。また、企業(組織)の各種報告書は長文化する一方で、企業を評価するために必要な情報という観点では重要な開示ギャップがあると指摘する。
そのため、IIRCは統合報告書に、財務・非財務に関わらず企業の短期、中期、長期にわたる価値創造能力に強く影響する要因を、統合思考に基づくアプローチによって報告することを求める。「統合思考」については、企業の様々な事業・機能と企業が利用し影響を与える資本との間の関係について、企業が能動的に考えることと定義する。また、統合思考が企業活動に浸透することによって、マネジメントによる報告、分析、意思決定においてより自然なかたちで情報の結合が実現されると考えている。
IIRCはそのような統合思考に基づく統合報告書が作成され、投資家が利用可能な情報の質が改善されることによって、より効率的で生産的な資本配分が行われることを期待している。

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