低金利の長期化に伴う金融機関の経営環境悪化が取り沙汰されて久しい。2019年3月に公表された日銀考査の実施方針や金融庁の金融行政方針・金融レポートにおいても、本業とみなされている預貸業務の「収益性」に関心が集まっている。
本稿では、収益性という観点から地方銀行の貸出金利回りに着目し、地域、規模といった要因に加え、貸出先構成比が貸出金利回りに与える影響について計量的に分析を行った。
その結果、地方銀行の貸出金利回りには地域、規模、貸出先構成比の違いが影響することが示された。地方銀行の収益性を示す指標の一つとして、貸出金利回りを評価する際には、全国横並びによる一律の評価を行うのではなく、これらの地域、規模、貸出先構成比による要因も考慮した上で評価を行う必要があると考えられる。