【Research Report】日本株式市場におけるオーバーナイトリターンを用いた銘柄固有の投資家センチメントと株価の関係
サマリー
本稿では、オーバーナイトリターンは銘柄固有の投資家センチメントを表すという米国の先行研究に基づき、日本株式市場における銘柄固有の投資家センチメントと株価の関係について、東証一部上場銘柄を対象に3つの分析を行った。まず始めに、2000年1月から2015年12月の期間を対象に、日本株式市場においてオーバーナイトリターンは銘柄固有の投資家センチメントを表しているか分析した。その結果、日本株式市場においてもオーバーナイトリターンは銘柄固有の投資家センチメントを表す指標になりうることを示す結果が得られた。次に、同じ分析期間において、銘柄固有の投資家センチメントと株価の関係について分析した。その結果、オーバーナイトリターンが高い銘柄群は、翌月のトータルリターンが高い傾向にあることを示す結果が得られた。最後に、銘柄固有の投資家センチメントと株価の関係についてさらなる検証を行うために、2002年1月から2015年12月の期間を対象に、日経平均ボラティリティー・インデックスと銘柄固有の投資家センチメントを用いた投資戦略の分析を行った。その結果、日経平均ボラティリティー・インデックスと銘柄固有の投資家センチメントを組み合わせることにより、それぞれを単独で用いるよりもパフォーマンスが向上するという結果が得られた。以上より、日本株式市場においてもオーバーナイトリターンを用いた銘柄固有の投資家センチメントは株価と関係があり、投資指標の1つとして利用できる可能性があることが確認された。