【Research Report】有価証券報告書に含まれるテキスト情報と企業業績の関係について

サマリー

 近年、テキストマイニングや人工知能の技術を用い、テキストデータの数値化やテキストデータから投資判断を行う上で重要な文を抽出する手法の研究が盛んに行われている。その中の1つに、因果関係文を抽出する研究がある。因果関係文は投資判断を行う上で重要であると考えられるが、抽出された因果関係文が企業業績を実際に反映しているのかを検証した論文は筆者の調べた限り存在しなかった。そこで、本稿では有価証券報告書の「業績等の概要」に含まれる因果関係文を対象として、因果関係文の結果表現に着目して、ポジティブな表現が含まれる場合は正となるように極性を付与し、この極性が企業業績を実際に反映しているかを検証した。その結果、極性と当該期における企業業績の関係は正の相関であり、各極性の企業業績の分布や中央値の推移を見てもその関係は確認された。一方で、極性と翌期の企業業績の間に同様の関係は見られなかった。これらから、有価証券報告書の「業績等の概要」に含まれる因果関係文は、主に当該期の企業業績を反映していることが示唆された。以上より、因果関係文を用いた業績の要因分析など、投資判断に応用する上での因果関係文の有益性がさらに高まったと考えられる。
 

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