【Short Review】インパクト投資の現状と課題 ~金融庁「基本的要素」の比較検証~

サマリー

持続可能な社会の構築は国際的に大きな課題となっており、わが国でも、脱炭素や少子高齢化、災害への対応など、社会・環境課題解決の重要性が急速に高まってきている。そのため、課題解決に貢献する技術の実装やビジネスモデルの変革(イノベーション)などをもたらす企業への投融資は喫緊の課題である。
こうした中で、インパクト投資は、持続可能な社会を実現するための金融(サステナブルファイナンス)の1分野として、持続可能な社会・経済基盤の構築といった基本的な意義を共有しつつ、投資の「効果」(インパクト)に着目する手法として、内外で推進の機運が高まっている。
金融庁は2022年10月に設置した「インパクト投資等に関する検討会」において、「インパクト投資」の基本的意義等について議論を進め、投資の要件、推進のための施策等と併せて「インパクト投資等に関する検討会報告書」(以下、本報告書)を取りまとめ、2023年6月に公表した。
当検討会では、インパクト投資市場の慣行が積み上がる途上にあることを踏まえ、国内外の幅広い市場関係者に対して、本報告書の内容を積極的に発信し、幅広い意見を得たうえで「インパクト投資に関する基本的指針」(以下、基本的指針)を改訂し、2024年2月に同改訂案(「インパクト投資(インパクトファイナンス)に関する基本的指針」へタイトルも変更)を公表、2024年3月に最終化された。これとともに今後の施策の方向性を含む報告書の提言を継続的に推進し、投資家・金融機関、企業、国際団体、地域の関係者等の多様な主体が、社会・環境課題の解決と成長を実現していく事業の存在と意義を理解し、これに資するファイナンス(インパクト投資)が一層充実していくことが期待されている。
本稿では、インパクト投資の定義について整理し、国内市場とグローバル市場におけるインパクト投資の状況を比較しながら、わが国のインパクト投資の現状について、その特徴や課題を考察する。そして基本的指針の「インパクト投資の基本的要素」について、海外のイニシアティブなどのインパクト投資に関する考え方と比較検証する。

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