【Research Report】ガバナンス体制からみた社長交代の動向について~GRスコア対象企業109社からの示唆~

サマリー

社長や最高経営責任者(CEO)など経営トップの選解任は企業経営における最重要な戦略的意思決定と捉えられる。2023年も社長交代のニュースが相次いだが、その中でも日本を代表する企業である、トヨタ自動車とソニーグループの社長交代が発表されたことが象徴的であった。欧米先進国においてガバナンス改革が推進され、日本においても2015年からコーポレートガバナンス・コード(以下「CGコード」)が策定されるなか、こうしたガバナンス改革の進展が社長交代に影響を与えていることが考えられる。そこで時価総額が上位にあるGRスコア対象企業109社 (業種バランスを考慮)を対象として、過去20年間の社長交代の傾向(社長在任年数等)について分析を行った。
業種や取締役会の組織形態、CGコードへの取り組み状況(社長の後継者計画や解任ルールの有無)の違いが、社長交代サイクルに影響を与えるかを確認した。CGコード強化が進むなか、社長交代サイクルが短くなる可能性を探ったが、過去20年間の各年に退任した社長の在任年数の推移をみると、各年の中央値は4-6年の範囲で推移していた。その年その年の経済環境や市場環境・業界環境の変化に伴う業績動向に依存するケースもあり、ガバナンス強化で社長在任年数が短くなるという傾向は確認できなかった。一方、取締役会形態が指名委員会等設置会社である企業や、CGコード原則で求められている、社長の後継者計画や解任ルールを定め、それらの内容を開示している企業において、社長在任年数が短くなる傾向が確認された。

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