資産運用におけるアセットアロケーションについては、これまでも多くの研究成果が発表され、資産運用のパフォーマンスを左右する最も重要な意思決定だとされている。このため、年金基金をはじめとした機関投資家の多くは、現代ポートフォリオ理論に基づき運用目標に合致した基本ポートフォリオを策定し、3~5年毎にその見直しを行っている。
しかし、基本ポートフォリオ策定に用いられるリスク・相関係数は通常、その時点から遡った中長期の過去データに基づいて算出されるため、時間の経過とともにその前提となった数値と足元の数値は乖離していく。本稿では、リスク・相関係数といった比較的更新が容易なパラメータを従来よりも短い間隔で更新し、常に最新の情報で基本ポートフォリオを構築し運用を行うという考え方について簡易な検証を行った。検証の結果、通常考えられているよりも短い間隔で基本ポートフォリオの見直しを行うことで、効率的な運用が実現できる可能性があることが分かった。