【Research Report】GRスコア2022対象企業における委員会の設置状況と構成について

サマリー

日興リサーチセンターでは、日本企業のコーポレートガバナンスの強さを評価するため、コーポレートガバナンス・コード(以下、JCGC)とICGNグローバル・ガバナンス原則(以下、ICGP)を基にしたGRスコア(ガバナンスリサーチ・スコア)を開発し、2017年より毎年評価を行っている。本稿では、GRスコア2022の対象企業109社における指名委員会、報酬委員会について、設置状況や構成について確認した。
対象企業109社のうち、指名委員会を104社、報酬委員会を105社設置しており、大半の企業はいずれかの委員会を設置していた。委員会の構成に関して、人数、社外取締役の属性、女性委員数については指名委員会と報酬委員会で大きな違いはなく、委員の両委員会兼任が多い。
指名または報酬委員会の独立性に着目すると、独立取締役が半数を超えている企業は、指名委員会で86社、報酬委員会で84社あり、JCGCの求める基準を満たす企業は多い。だがICGPが報酬委員会に求める「すべて独立社外取締役で構成する」基準となると、わずか16社にとどまる。つまり、完全に独立した委員会を設置する企業は少なく、委員のメンバーに社長などの業務執行取締役を含む企業が多く、その中には社長が議長を務めるケースも確認された。
指名または報酬委員会の独立性や役割・権限の記述は、全体の3割程度であり、今後の開示の改善が期待される。その開示の中でも、両委員会に共通する役割である、外部コンサルタントの任命、株主との対話に関する記載は確認されず、現段階では両委員会の役割として認識されていないと考えられる。
以上のことから、指名または報酬委員会の独立性については一定程度評価されるものの、業務執行取締役が委員として選出されていることや委員会の独立性や役割が不明瞭であることが課題である。このことは、経営と執行の監督の分離が十分に進んでいないことが寄与しているとも考えられ、この点が今後の課題解決の鍵となるであろう。

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