年金の積立不足が企業の自己資本に与える影響

サマリー

企業のバランスシートにおける未認識債務の即時認識が、平成26年3月末から適用される方向で検討されている。未認識債務とは、年金の積立不足(退職給付債務‐年金資産、以下、積立不足)から退職給付引当金を除いた部分を指す。従来、未認識債務はオフバランスされていたが、新たに負債として計上されることになれば、自己資本の減少要因となる。とりわけ、未認識債務の大きな企業にとっては、深刻な問題となる可能性がある。本稿では、シンプルな設例(企業)を対象としたシミュレーション分析を行うことにより、企業のバランスシート上で未認識債務が即時認識される場合の自己資本への影響を確認する。
シミュレーションの結果、企業の自己資本比率は、年金の積立不足が拡大する場合に低下することが示された。また、自己資本比率の低下は、リスクの低い資産配分とすることによって、緩和される可能性があることが確認された。これらの結果は、分析の前提条件に大きく依存するため一般化して解釈することは困難であるものの、年金の積立不足が財務上のリスクとなり得ることを示唆するものである。

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