欧米公的年金基金における責任投資原則の進展と実践

サマリー

欧米では責任投資原則(PRI)が当たり前になりつつあり、それにつれて責任投資の具体的な行動が課題になっている。そこで、本稿では、PRIに署名している欧米の大手公的年金がPRIに署名した根拠と、PRIがどのように実践されているのかを調べた。また、ガバナンスとの関係で注目されつつあるエンゲージメントについても調査を行った。欧米のAP2やFRRなどの公的年金では、設立時に社会的な責任投資の考え方を整理する必要が法的にあり、環境や社会、ガバナンスといった問題が責任投資の中に組み込まれている。一方、ABPやCalPERSのような公務員年金では受託者責任の延長線上で解釈されている。両者とも、経済的な収益性(ポートフォリオのリターン)と社会的な責任投資は相反するものではなく、企業の持続的な成長による価値増大は、長期投資の観点からも支持されると解釈されている。また、SRI投資やサステナブル投資が行われている。企業の持続的な成長や年金基金の長期投資の観点から、コーポレート・ガバナンスとの関係でエンゲージメントが注目されつつある。これは責任投資の原則2に対応するものでもあり、エンゲージメント活動の一環として、ガバナンスだけではなく、環境や社会を対象にしたものへ広がっている。エンゲージメントの個別例としては、他の公的年金との連係による協働エンゲージメントや、ESG評価運用会社との協働によるバリュエーション・モデルの開発、エンゲージメント効果の分析などが行われている。

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