公的年金の運用管理手法に関する一考察~基本ポートフォリオとリスク許容範囲による運用管理の導入~

サマリー

日興フィナンシャル・インテリジェンス(以下、NFI)の推計によると、年金積立金管理運用独立行政法人(以下、GPIF)が運用する公的年金の積立金は、2013年3月末時点で119.99兆円となっており、世界最大の公的年金である。GPIFの運用管理は、長期的な資産構成割合(基本ポートフォリオ)を策定し、それを構成する各資産について一定の乖離許容幅に収まるようにリバランスを行うという方法で行われている。公的年金であることから、基本ポートフォリオの改訂には、財政検証の他、使用する経済モデルの妥当性、将来的な経済環境との整合性、運用管理手法の適合性などを検討する必要があり、時間がかかることが予想される。この基本ポートフォリオは2004年度に策定されて以降、変更されていない。その結果、年金給付の増大に伴うキャッシュアウト対応や、リーマンショック以降の投資環境の実態に合わなくなっており、運用管理を実行する上で問題がある。そこで、基本ポートフォリオを構成する各資産の配分比率の乖離許容幅から推計されるリスク許容範囲内で、経済の実態に合うようにリバランスを行う方法を提案する。NFIで推計したところ、内外株式のリバランスによって実態経済に即した運用管理が可能だという結果が得られた。
以上より、本稿では、まず、公的年金に特有な運用目標である「実質的な運用利回り」の考え方と、それを実現するための基本ポートフォリオによる運用管理の考え方、見直しのスケジュールについて整理し、その後、上記運用管理手法について考察する。

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