日本銀行の資金循環統計(2011年第4四半期速報)によると、日本の家計の金融資産に占める投資信託の割合は2.6%となっている。水準はまだ低いものの、リスク資産としては株式・出資金(5.8%)に次ぐ水準である。今や、投資信託は重要な金融資産の一つとなっている。
本稿では、投資信託の中でも、その中心である公募株式投資信託追加型(以下、ファンド)について、設定額、解約額、純資産総額や本数の推移を見ながら、近年におけるファンドの拡大・成長の状況を確認する。また、ファンドの設定額と資金フロー(設定額-解約額)に影響を与える要因としてリターンや分配利回りを挙げ、リターンや分配利回りの高低がその後の設定額と資金フローにどのような影響を与えたか、統計的手法を用いて簡単な分析を行う。
分析結果からは、前年度のリターンや分配利回りの高低が、翌年度の設定額と資金フローに影響を与える要因となっていることが確認された。特に、設定額に影響を与える要因の傾向が強いことが確認された。また、リターンより分配利回りの方が、設定額と資金フローの双方に対して相対的に強い要因となっていることも確認された。