主成分分析を用いたリスク分散ポートフォリオ~さらなるリスクの分散を求めて~

サマリー

2008年の金融危機以降、資産配分が十分に分散されているポートフォリオでも、ポートフォリオに対する各資産のリスク寄与度に大きな偏りが生じている点が指摘されるようになった。こうした問題に対するアプローチの一つとして、ポートフォリオのリスクに対する各資産のリスク寄与度を等しくする、リスクパリティポートフォリオに注目が集まっている。
一方で、リスクパリティポートフォリオには課題も指摘されている。多くの先行研究で指摘される点は、資産間の相関の高さから、各資産のリスク寄与度を等しくしたからといって、必ずしもリスクの源泉を分散したことにはならないという点である。そこで本稿では、こうした課題に対するアプローチとして、資産の相関に着目したMeucci[2009]の方法に従い、主成分分析を用いたリスク分散ポートフォリオを検証した。今回の検証では、代表的な四つの資産(国内債券、国内株式、外国債券、外国株式)を用いて、リスクパリティポートフォリオと主成分分析を用いたリスク分散ポートフォリオを構築し、二つを比較することでリスク分散ポートフォリオの特徴を確認した。その結果、Meucci[2009]]が提唱するリスク分散の観点から、リスク分散ポートフォリオは、リスクパリティポートフォリオよりもリスクが分散されたポートフォリオであることが確認された。また、今回の検証では、リスク分散ポートフォリオはリスクパリティポートフォリオと比較して、高リターン、低リスクで、リターン・リスク比の観点からより効率的なポートフォリオであった。

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