【Research Report】コロナショック下のファンド投資家動向~リーマンショックとコロナショックから~

サマリー

 2019年12月31日に中国湖北省武漢市で新型肺炎がWHO(世界保健機関)に報告されて以来、新型コロナウイルスは勢いを徐々に増し、今なお世界経済に大きな影響を与え続けている。株式市場をはじめとする金融市場が大きく乱高下する中、ファンド投資家の投資態度はどのような状態であったかについて、リーマンショックと比較しながら確認した。
 サブプライムローン問題に端を発し、米国の大手投資銀行であったリーマン・ブラザーズが経営破綻したリーマンショック期、新型コロナウイルスの蔓延を抑制するため世界各国が厳しい経済活動制限などを行ったコロナショック期のどちらも金融市場は大きく乱高下した。投資家にとっては心理的な面を含め、どのような投資行動を選択すべきか非常に難しかったと思われる。
 ファンドの資金動向をみると、リーマンショック期間のファンドの投資行動は低調であり、資金流入は継続したが直前と比較して大きく減少した。また、リーマンショック直後もリーマンショック直前の水準までの回復には至らなかった。一方、コロナショック期間は、その直前と比べてファンドの投資行動が活発化し、純流出であったコロナショック直前から一転してコロナショック期間は純流入となった。
 コロナショック期のファンド投資家の投資態度をリーマンショック期と比較すると、①「大きく下落したリスク資産への投資選好が鮮明」、②「分散投資が中心の「複合」タイプのファンドに対する投資態度は、ショックを経ても変化なし」といったことが読み取れた。①からは、さまざまなショックに対応する形で金融市場の安定化が図られ、ファンド投資家もそのような点を理解し、過度のリスク回避的なスタンスを取らなかったのではないかといったことが考えられる。また、②からは、長期的な資産形成において市場動向に左右されない投資態度が重要であることがファンド投資家に浸透してきた表れではないかといったことが考えられる。
 さまざまな制度改正や啓蒙活動を通じて、資産運用に対するファンド投資家の理解が深まり、実際の投資態度にも表れていたことが窺えた。

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