【Research Report】LRPを用いた深層学習株式リターン予測モデルの解釈の試み

サマリー

 近年、株式の個別銘柄のリターン予測において、様々なファクターの中から予測に有効な特徴量を自動で抽出できる深層学習技術の応用研究がなされている。しかし、深層学習は計算過程が複雑で、人間にはその予測根拠の把握が難しく、意思決定に理由が求められる実務での利用において、解釈の困難さが課題とされることがある。一方、深層学習の解釈手法についても研究が行われており、深層学習において研究が盛んな画像分類等のタスクだけでなく株式の指数や個別銘柄等の資産価格リターン予測をタスクとした深層学習モデルに対しても解釈に関する研究が行われている。本稿では、モデルの解釈に焦点を当て、個別銘柄のリターン予測をタスクとした深層学習モデルについて、LRPと呼ばれる深層学習の解釈手法を用いて、各入力値の予測リターンに対する貢献度を個別銘柄レベルで確認し、モデルの予測根拠の解釈を試みた。また、深層学習モデルの入力値に個別銘柄属性だけでなくマーケット指数等の市場情報を用いることで、銘柄属性と市場トレンドの2つの側面での分析を行った。これらの分析の結果、個別銘柄の予測の根拠として深層学習モデルがどのようなファクターに注目しているか、マーケットの傾向としてどのようなファクター効果を予測しているか、また、銘柄属性によって同じ市場情報でもポジティブに捉えるかネガティブ捉えるか異なる場合があることが分かった。このような情報を提示することで、金融実務における深層学習の利便性の向上が期待されるだろう。
(このレポートは2019年10月発行の同タイトルのレポートに加筆修正を行った改訂版になります。)

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