【ResearchReport】ファンドの純資産総額とリターン ~規模の大きさはパフォーマンスによい影響を与えるか~

サマリー

 2018年末における公募追加型株式投資信託(除くETF)の純資産総額は59兆3,535億円、ファンド数は5,600本となった。ファンド数は1997年以降で過去最高を記録した一方、純資産総額は頭打ちの状況となっており、ファンドの純資産総額は近年小型化してきている。
 ファンドの純資産総額が小型化することによって、ファンドに対する管理費用や調査費用の相対的な増加、運用パフォーマンスの低下などが懸念される。
 そこで、本稿では国内株式に投資するアクティブファンド(以下、「国内株式ファンド」)を対象に、国内株式ファンドの純資産総額と運用パフォーマンスの関係について2005年末~2018年末までの14年間の期間データを用いて検証し、運用パフォーマンスに規模の経済がみられるのか、または純資産総額が小さい方が収益機会を機動的に捉えるのかについて検討した。
 その結果、国内株式 一般 小型を除いた各スタイルでは、純資産総額が大きいグループの平均リターンが、純資産総額が小さいグループの平均リターンを上回る傾向が見受けられたものの、統計的な観点からは運用パフォーマンスに規模の経済が働いているとまではいえなかった。
 また、国内株式 一般 小型のファンドでは純資産総額が小さい方が収益機会を機動的に捉えていた可能性が考えられるが、こちらも統計的な観点からは有意とまではいえなかった。
 本稿の分析では、純資産総額の大きさと運用パフォーマンスとの間に有意な関係は見いだせなかったが、多くのファンドで純資産総額が管理費用や調査費用などを賄える必要最低限の水準を確保し、運用会社がファンド運用に一層注力できる環境が整うことで、受益者である投資家に運用成果として還元される好循環が形成されることを期待したい。

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