【Research Report】テキストマイニングによる有価証券報告書の開示変更への対応に関する分析

サマリー

 金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」(平成27年度)において、会社法、金融商品取引法、証券取引所規則に基づく各開示書類を通じた企業情報開示のあり方が審議され、記載の整理や合理化等の見直しの方向性が報告された。これを踏まえ平成29年10月24日に「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正案が発表され、有価証券報告書の「財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に「業績等の概要」、「生産、受注及び販売の状況」が「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」として統合され、この開示の変更は平成30年3月31日以後に終了する事業年度から適用された。ところで、昨今のAI技術の発達に伴い決算短信やニュース等に対して、テキストマイニング技術を用いた非財務情報の研究が活発に行われている。有価証券報告書に関しても研究がなされているものの、先般の内閣府令の改正に伴う記載内容や記載箇所の変更は、これまでの枠組みでのテキスト分析にその企業の業績や方針等の変化とは無関係な変化をもたらすことになる。そこで本稿では、開示項目の平仄を合わせることを目的として、開示変更前後の有価証券報告書を用いて、「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の文章が、変更前のどの項目に属するのかを5つの方法を用いて分析し、その精度を比較した。また、各項目の平仄を合わせた上で、開示変更前後の各項目の記述量の変化を見ると、全体として減少していることが分かった。このことは、記載の整理・合理化が進んだことを示唆しているのかもしれない。

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