高齢社会と高齢者の就業に関する考察~高齢者の生活能動感覚と社会的起業~
- 2006年6月30日
社会システム研究所 CSR調査室
- 立石 隆英
サマリー
65歳以上の人口比率である高齢化率はすでに14%を超え、定義上は高齢社会に入っている。平均寿命は男性76歳、女性86歳となり、65歳以降の平均余命は男女ともに20年近くある。事業会社に勤めている場合には定年は60歳から65歳が想定されているケースがほとんどであり、就業者にとって定年後の時間が余生というには結構長い。従来は余生とも考えられてきた約20年という時間において、高齢者の就業という選択肢も無視できないのではないか。昨年、共同研究で実施した、主観的健康感に関するアンケート調査で収集した生活能動感覚についても、その感覚が高齢者ほど高いという結果が得られている。生活能動感覚の高さは、定年後に就業し続ける意識につながると考えられる。同アンケートでは高齢者の社会貢献意識が高いという結果も得られている。その意味で、社会的起業の意味合いが強いコミュニティ・ビジネスもその就業機会のひとつになるのではないだろうか。高齢社会の課題解決には、高齢者の生活能動感覚に着目した就業機会の創出と、その就業機会のための資金調達ルートの確保が必要不可欠であると考えられる。