公的年金の逸失利益性に関する論点整理

サマリー

不法行為によって年金受給者が死亡した場合、遺族は加害者に対して将来給付の喪失を逸失利益として請求できるのかという問題がある。この問題に対し、最高裁は、退職年金と障害年金(基本年金分)については、遺族年金との給付の同質性を理由に逸失利益性を肯定する一方で、障害年金の加給分と遺族年金については拠出と給付のけん連性がないことや、再婚等の本人の意思よって給付の終了が予定されていることを理由に否定している。
最高裁は、年金制度の目的や給付の性質等に着目して逸失利益性の有無等を判断しており、最高裁判決の論理を整理することは、公的年金制度の考え方を把握するのに有益である。また、最高裁の論理を保証期間付の企業年金に適用した場合、死亡者の得べかりし企業年金給付と、遺族に支払われる残存保証期間に係る給付との損益相殺的な調整が必要となると考えられる。

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