【Short Review】目標額に応じた資産配分の決定と見直し効果
サマリー
長期間安定的に資産運用を行う際には、国内外の株式や債券などの幅広い資産に分散して投資することが重要である。日本証券業協会[2022]は中間層の資産所得拡大に向けた提言の中で、確定拠出年金の運用商品において約45%が元本確保型の商品となっており、高齢期の私的年金(資産所得)格差が生じる可能性があると指摘している。
このような問題から発生する資金不足を避けるためには、将来達成したい目標額を定めて資産配分を決定することが大切であると考える。例えば、目標額が高ければ、高いリターンが期待できるリスク性資産のウェイトを高める必要性を認識できる。また、運用計画が想定通りに進んでいるか定期的に確認し、資産配分を見直すことが可能である。
このため本稿では、まとまった資金を1度に投資する一括投資と毎年一定額を積み立てる積立投資という2つの投資方法について、数理モデルによって当初目標とした金額を達成する確率を計算し、目標額に応じた資産配分の決定と定期的な見直しの重要性を確認する。