【Short Review】国内株式アクティブファンドのcloset Index trackersに関する考察
- 2022年9月15日
資産運⽤研究所
主席研究員
- 藤原 崇幸
サマリー
2016年2月、欧州証券市場監督局(以下、ESMA)は「Supervisory work on potential closet index tracking」を公表した。
ESMAはその中でアクティブファンドの「closet index trackers」(アクティブファンドでありながら保有銘柄構成やパフォーマンスがベンチマークに近く、パッシブファンドに近い運用をしているファンドのこと)の可能性について調査を行っている。
ESMAの公表結果によると、「closet index trackers」の判定基準として「アクティブシェアが50%未満かつトラッキングエラーが3%未満かつ決定係数が0.95超」とした場合、分析対象に用いたファンドの5%が「closet index trackers」の可能性があるとした。
本稿では、国内株式アクティブファンド410本を分析対象として、「資産運用業高度化プログレスレポート2021」でも取り上げられた「closet index trackers」について分析を行った。そして、今回の分析結果では分析対象ファンドのうち7%が「closet index trackers」の判定基準に該当することを確認した。また、信託報酬の面では、「closet index trackers」の判定基準に該当するファンドパッシブファンドの信託報酬の水準を1%近く上回っている。
「closet index trackers」の可能性が高いファンドは、アクティブファンドでありながら保有銘柄構成やパフォーマンスがベンチマークに近く、パッシブファンドに近い運用をしている可能性が指摘されている。また、純粋なアクティブファンドに比べ期待されるリターンが低い傾向にあるという結果も報告されている。
以上のようなことを踏まえ、アクティブファンドを運用するファンドマネジャーには、これまで以上に投資家の期待に応えるアクティブ運用の実現を期待したい。